「仕事ですから」

俳優の柄本明は、ある番組で、志村けんとのへんな芸者の役について聞かれたとき

「仕事ですから」

と応えていました。インタビューアーはどこかで「江本さんほどの俳優がどうしてそんな役までやるんですか」と思い込んでいたのでしょう。その質問に涼しく

「仕事ですから」

と返していました。

私は、この「仕事ですから」という構え方が好きです。特に熱い情熱を持つわけでもなく、仕事として責任を果たしている、自分の好みでやっている訳ではない、という感じが好きです。

なんか涼しい感じがします。

思い返してみると、私はあらゆる仕事を「仕事ですから」と対応してきたように思います。自分で「仕事ではない」と判断したものには参加しない。

かつて、ある主任会の飲み会に参加したことがあります。私は、その主任ではありませんでしたが、校長から「参加してみろ」と言われて、しぶしぶ参加したのです。

嫌な予感がしました。予想通りでした。参加した主任方は、同席した指導主事にどうやってお酒をつぐかを競うような態度でした。

あきれて、自分の料理を食べて、そうっと退席しました。

これは、自分の「仕事」とは思えませんでした。

私は「仕事」の範囲で仕事をします。勤務時間を大幅に超えるような仕事は、自分の仕事ではありません。

その範囲でできることを淡々とこなすだけです。