授業はみんなで作るものです

3学期の始業式、校長先生のお話の中で

「楽しい授業をみんなで作ってください」

とありました。

「授業は、先生だけが作る物ではありません。みんなで作る物です」

子供たちが静かに座っていて、先生の話を聞いている。

先生が黒板に書いたことを、とにかく丁寧に写す。

なんて授業はもう終わりにしましょう。

子供たちが帰った後の職員に対して

「教師の役割は、コーディネートです」

「何かを教えようとすれば、ネット上の予備校の授業の方がうまい」

「先生が何かを教えようとする形を変えなければならない」

などなど、ここまで踏み込んだ発言をした校長先生は今までいませんでした。

お一人だけ、「学びの共同体」に詳しい方は、私に

「一斉授業には未来はない」

と15年ほど前にお話頂きましたが、そんなことを聞く同僚もいませんでした。

ようやく、ここまで来ました。

教育はサービス業ではありません。教育という商品をできるだけ安く効率的に手に入れるかを競うものではありません。教師と子供たちとで作り出していくものです。相互作用による活動によって教育は成り立っていくのです。

子供たちとどのようなコミュニケーションを作り上げていくのか、そこが一番大切です。

現在担任している子供たちは、とても正直です。

「先生、授業をしてください。授業をしてもらった方が楽なので」

と言います。黙って座って、黒板を写していれば良いのですから、これほど楽なことはありません。自分が理解しているかどうかすら、本人は興味がないのです。

「写しているけど、理解していますか」

と質問すると、子供たちはおかしな表情をします。

「理解しているかどうかなんて、わかりません」

という感じです。

「ていねいに書くことは大切だけど、分かっていなければテストで良い点は取れません。理解しているかどうか、自分でわかりますよね。」

と話をすると、意外な顔をします。

自分でできるようにするのは、教師の仕事であると思っているのです。

教師も努力します。子供たちも努力します。

そうならなければ、学力は向上しません。

教師がしゃかりきになって

「学力向上だ」

といきり立っても、全く成果が出ないこともあります。

教師と子供たちが一緒に考えて、何とかやってみようという合意ができるようにまだまだ働きかけを続けるしかありません。

新しい教室を作るには、教師だけでなく、子供たちも発想の転換をして行く必要があると思っています。