給食の話

私は、子供たちに

「嫌いな物は少しでもいいから食べなさい」

なんてことは絶対に言いません。

以前、勤めていた学校で、このルールを採用していました。

クラスに牛乳が嫌いな子供がいて、

「少しでいいから飲んで」

と言ったら、すぐに保護者からお電話を頂きました。

職員室でその電話の対応をしていても、誰もその電話を替わろうとはしませんでした。

本意でないことをしても、責任をとるのは自分なのかと思い、それ以来そのルールを無視して過ごしました。

現在の勤務校には、そんな決まりはありません。

コロナ対策の関係で、大食缶の汁物は、担任が盛り付けする事になっています。

汁物に入っている具の好き嫌いがあります。

そこで、私は

「具だくさん盛り」

「普通盛り」

「汁だけ盛り」

と作って置いています。

これが子供たちには好評です。

本心は

「給食ごときで、好き嫌いをなくせるなんて、思い上がりも甚だしい」

と思っています。

ただ、

「好き嫌いは一生続く物でもない。好き嫌いは変化していくから」

とは言っています。

「人類が生き延びるため、好き嫌いがある」

という下りを読んだときには、目から鱗が落ちました。

好きな物が重ならないと、食べ物を巡る争いが減ります。

好みがみんな違う方がいいのです。

一方で、食糧難がやってきたら、好き嫌いのない人が、言い変えれば、何でも食べられる人が生き延びていきます。好き嫌いをうるさく言い立てる人は、食べる物がなくなって生き延びられません。

「味噌汁の汁だけ」

なんて、誰もとらないと思っていたら、

「私は、これがいい」

なんて言って、持っていく子供がいました。

まあ、いいのではないでしょうか。