「将来を考えると、教室で一番大切なことは何か」
をいつも考えます。
算数の平均点をあげることが一番大切でしょうか。
大切ですが、一番かどうかわかりません。
内田樹氏の著作から、宇沢弘文氏の「社会的共通資本」という考え方を知りました。
水野和夫氏の著作から「資本主義はもう先がない」ことを知りました。
でも、水野氏は「資本主義が終わることは分かっている。だが、その先の世界は分からない」と書きました。
そして、斎藤幸平氏の著作から、資本主義の先は「コミュニズム」であると指摘されました。
最初の内田氏に戻ります。
誰の物でもない、共有地のようなものを再生していくことが大切であるという指摘です。
内田氏は、道場を建て、自前で「コモンの再生」を始めています。
内田氏によれば、日本中で形の違いこそあれ、「コモンの再生」は大きな流れになっているとのこと。
もし、資本主義の先が、その通りなら、『学び合い』はとても大きな力を育てることになると思います。少なくとも、従来の一斉授業ではどうにもなりません。従来の一斉授業が、従来の価値観で作られている以上、それ以上のものにはなり得ないからです。
教育も教室の中だけの物語で語っているのでは話になりません。
もっと大きな物語が必要になっています。
世の中をどうするのか、その世の中に何を求めるのか、世の中にどのように関わっていくのか。そのときに必要な能力とは何か、その能力をどのように育てていくのか。
そして、何よりそれを語る教師は、どのような生き方をしているのか。子供たちに何を語れる教師のなのか、何を見せられる教師のなのか。
私は、最近意識的にネットワークを広げようとしています。
幸いにして、ウェブ飲み会なら、制限なしで出来ます。
マスクも必要ないし、お金もかかりません。
時間だけ大まかに合わせておけば、いつでも出来ます。
「もし、誰かがコロナに感染して、自宅待機になったら、食料を調達し合うことにしよう」
なんて言い合っています。
声をかけると、近くに親戚が少ないし、助けてもらえるなら有り難いとすぐに相互の助け合いに同意してくれます。
実際に会わなくても、玄関先に食料を届けることはできます。
何でもいいから、関わり合いを進めるように努めています。
声をかけると、みんな同意してくれます。
私は、なんだかとても安心しています。
コロナでなくても、地震などの災害の場合も、心強い味方です。
私なりの「コモン」を作ろうとしています。
物語は大きくして、まずは自分が出来ることを近くから始めています。
教室では、子供たちがいろいろとおしゃべりをする時間を確保しています。
それで、子供たちの中に様々なつながりが出来れば、それが一番の財産になるはずです。
このまま行くと、資本主義が崩壊して、一部の金持ちと大部分の貧乏人の世の中になってしまいます。
そのときに、少しでも公平な分配が進むように、まずは身近なところにセーフティネットを作ることで、「コモン」を作ろうとしているのです。
女子の卒業生が来て、農業高校に進学することを知りました。
内田氏によれば、農業に若い女性が向かっているのが始まっているとのこと。
「女子が多いんだって」
と言ったら
「はい」
とうなずいていました。
私は「やっぱりな」と思いました。
こういう時代の流れをつかむのは、女性が早いようです。
男達は、相変わらず「男性優位の社会」にいると思っているようですが、それはもう完全に先がありません。
書いていて、飛躍している論理だなあと感じていますが、私はまず一歩だと思っています。